◇情報拠点の複合施設
「21世紀に対応できる文献情報の拠点としての『県民に開かれ、親しまれる図書館』に」
89年に示された県の図書館建設基本構想には、こう記されている。「新しい(3代目)図書館の建設は長年の悲願だった」。元県教育長で、図書館再建にかかわった西川時千代さん(73)=和歌山市=は振り返る。
1908年6月、和歌山城内に初代県立図書館が誕生した。蔵書は約8000冊。当時の図書館令は「閲覧料を徴収することができる」としたが、正門には「閲覧無料」の看板が掲げられた。38年、大規模な改修工事で2代目となり、45年、和歌山大空襲による建物の焼失は免れたものの、米進駐軍が接収。46年6月の業務再開後、50年4月には新図書館法が公布され、閲覧者数、冊数ともに急増した。
県内の公立図書館創設が相次いだ70年代。県立図書館の機能充実が求められるようになるが、整備の遅れが目立った。「昼でも薄暗く、ゆっくり本を読める環境にない。学生の勉強の場にしかなっていなかった」と西川さん。73年の新館建設基本方針は財政悪化などでいったん白紙になったが、「誰もが気軽に楽しく利用できる施設に」との声は強まる一方だった。88年、県教委は文化施設整備室を作り、再び新館再建に乗り出した。
西川さんは91年、教育長に就任。県外の図書館の視察を重ね、県民の文化・学習活動を幅広く支援できる施設を目指す。93年、文化情報センターなどを備えた複合施設として、新図書館が和歌山市高松の和歌山大経済学部跡地に完成。県民からの公募で、愛称は「きのくに志学館」に決まった。
「まさに県民による県民のための図書館」。移転後、初代館長を務めた西川さんは、子どもからお年寄りまで、たくさんの人がうれしそうに本を手に取る姿に目を細めた。そして今、願う。「これからますます精神的な豊かさが求められる。文化の殿堂として一人でも多くの県民に利用していただきたい」=つづく
毎日新聞
続けることが大切なんですよねぇ
0 件のコメント:
コメントを投稿